ベークライトとペンについて その5
ベークライトとペンについて その5>
棒材を削って万年筆などの筆記具を作る場合には、戦前から日本の職人たちの間では、ろくろ(轆轤)という特殊な旋盤が使用されてきました。
そもそも一般に人には旋盤による切削にイメージがないかと思いますが、こけしや野球のバットなどを削るように、機械に取り付けた棒材を高速回転させて刃物を当て、削っていく方法だと思ってください。
リンゴの皮むきも、刃物を当てて回転させるという点では同じですね。
現在一般的な旋盤では、材料の棒材は、自分から見て横になるように旋盤機に取り付けられます。
それに対して轆轤では、先端が自分に向いている、刀を突きつけられるような向きで棒材を機械に取り付けられます。
一般の旋盤では刃物も機械に固定しますが、轆轤によるペンの切削においては、刃物を手に持ったまま回転する材料に押し当てて削ることが多いので、手の角度からして、棒が自分を向いている方が刃物を当てやすいのです。
そして昔の足踏みミシンのように、足下のペダルを踏むことによって、棒材を回転させます。電気を使わずに、自分の体力だけで切削作業をしていたのですね。
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