ベークライトとペンについて その6

ベークライトとペンについて その6>

前回、昔の轆轤では足踏みで回転させていたと書きましたが、現在の電動で動く通常の旋盤では相当のスピードで材料を回転させています。

しかし轆轤でのペン作りでは、手で直接刃物を当てることを考えると、その時々のタイミングで微妙に速度を遅く調節できる方が削りやすく、安全でもあるのです。

足踏みによる自力での回転だからこそ、その辺の微妙なスピードコントロールが可能なのですね。

ここで面白いのは、ペダルには右足用と左足用があり、踏み分けることによって右回転、左回転が自在に、そして瞬時に切り替わるようになっていることです。

ドリルは回転方向を変えなくても引き戻すことができますが、ネジ切りタップは逆回転をさせなければ引き戻すことができません。

これはドリルでの穴あけや、ねじ切りなどの作業を行う際に、回転を瞬時に逆に切り替えることによって、ドリルやねじ切りタップを切りすぎずに引き戻すのに便利な仕掛けなのです。

このように、轆轤職人は轆轤を体の一部のように自在に操って、万年筆などを作り出していたのですね。

kanesaki
写真は日光エボナイトの金崎さん

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