筆記具の専業メーカーとして、国内大手メーカーへのボールペン、シャープペンのOEM生産をして参りました。特に、金属製高級筆記具の分野では 、ブランドボールペンの供給元として、業界における一定の地歩を築いてまいりました。
消費者の皆様が手に持ち、役に立つ品物を創っていくこと。それを主題にここまでやってきました。これからも私たちは、人々の生活の中に弊社製品があり続けるよう努力し続けてまいります。
重量感へのこだわり
なぜ高級筆記具はある程度重い方がよいのか。
僕自身、オフィスでの走り書きなどには、100円のゲルインクボールペンを愛用しています。最近のゲルは水にも強く、インクの出が良いため軽く書けます。
しかし、人前で使ったり、きちんとした文を書く時には、やはり重量感のある高級ペンを使いたいと思います。重量感のあるペンは、手になじみます。手で筆圧をかけなくとも、ペン自体の重みで筆記ができます。持った感じが落ち着きます。 存在感があります。我々が目指すのはそんなペンです。
軽くて手頃な事務用ペンは、大量生産が得意な大手筆記具メーカーにまかせ、 1本1本お客様への思いをこめて生産のできる重量感のある中高級ペンこそが、小さな工房を活かせる分野だと信じて日々制作しています。
真鍮へのこだわり
重量感のあるペンを作るために必要な素材が真鍮です。
最近は軽い素材がもてはやされプラスチックやアルミのペンが主流になっていますが、キリタでは昔ながらの真鍮製にこだわり続けています。
真鍮は銅と亜鉛の合金で黄銅とも呼ばれています。プレスや切削加工に適し昔から機械部品や楽器によく使われています。しかし重いために多くの分野でプラやアルミに取って代わられてきています。この重量感こそがキリタのペンに最適 との思いから、我々は真鍮を使い続けていきます。
例えば万年筆は、ペン先を潰さないようにほんの少し浮かせ気味に書きます。だから軽いプラスチック製がいい。
それに対してボールペンは、ペン先を紙に押しつけながらボールを回転させて使います。真鍮の重いペンなら、力を入れて肩が凝ることなく、ペンの自重で筆記出来ます。
国産へのこだわり
革の鞄や財布の工房で国産手作りをうたっている工房は数限りなくあります。セルロイド系の樹脂で本体を切削する系の手作り筆記具工房もあります。
しかしきちんとした工業製品としての高級筆記具を製造直販しているところは他にありません。
工業製品としての筆記具を製造するには、多くの協力工場が必要となります。キリタでは金属部品の旋盤加工を行っていますが、その他にプレス屋さん、塗装屋さん、メッキ屋さん、印刷屋さんなどの、同じ下町の町工場と連携して製品を作っています。
ただ近年は高齢化が進み、廃業する町工場も増えています。何とか日本の技術を守り続けていきたいと思っています。