【クロコ】開発秘話、その1
【クロコ】開発秘話、その1>
今回からしばらくは、キリタの人気製品である本革巻きボールペン【クロコ】の開発秘話を書いていきたいと思います。
そもそも革巻き加工を施したボールペンの開発自体は、20年以上前から、企画が出ては消えてを繰り返してきました。
もちろんその頃は、キリタの母体である桐平工業はOEMの専業でしたから、キリタのオリジナルとしての企画ではなく、商社や他メーカーからの依頼でした。
しかし実際にはなかなか製品化せず、いつも企画倒れで終わっていたのですが、その理由は、コストと数量と品質のバランスが、上手く一致しない事にありました。
今も色々なメーカーが革巻きのボールペンを出しており、私も今回比較検討のために色々購入して見ましたが、価格に関しては、安いもので2,000円位から、中心価格で3,000円~5,000円でした。
そして私の見立てでは、ほぼ全てが中国アジアでの製造品のようでした。(発売元に問い合わせたわけではありませんが。)
それに対して桐平ではどうしても東京周辺の革小物屋さんに巻きを頼むことになるのでコストが割高になってしまいます。
筒の表面に革を張るなんて、一見簡単そうに思えるのですが、これがけっこう難しいようです。実際に素人がやってみても、出来ることは出来るのですが、なんか仕上がりがぴしっといきません。
金属の円筒の表面に皮を張っていく場合、後でゆるみとか皺などが出ないように革を引っ張って伸ばしながら貼っていくらしいのですが、革の縦横で伸縮率が違ったり、巻き始めと巻き終わりの合わせ目の始末がピシッと行かなかったり、なかなか技術がいるようです。
それで結局そういうことを頼める所を探すのですが、そもそもボールペンの本体に革を巻く職人というのは存在していません。
バッグや財布などは基本ミシン掛けで作っていくので、革職人さんと言っても金属の表面に皮を張る作業が上手いとは限らない訳です。
どうも後々聞いたところでは、職人さんの仕事というのはかなり細分化されていて職人によって専門があるらしいのです。
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名入れボールペンの【ペン工房キリタ】