【クロコ】開発秘話、その10
【クロコ】開発秘話、その10>
本体の外径が大きく(太く)なると、先金や天金のような小部品の他に、クリップもそのままケーファーのものでは使えなくなります。
本体とクリップの隙間、ノートやシャツの布が挟まる部分が狭くなりすぎるからです。
ケーファーの本体軸の太さは、直径で9.5mm。クリップもそれにちょうど良い大きさになっています。
0.4mm程度の牛革を巻いた外径10.3mm程度の外径ならまだしも、ワニ皮を巻いた11mmを越える外径ではどうにも収まりません。
実は最初の計画では、先軸と後軸が分かれた一般的なデザインのペンの他に、ケーファーそのものを使って表面を革巻きにしたバージョンも考えていました。
しかしこの状況になると、ケーファークリップの太軸バージョンを型から作る必要があり、けっこうな金額になってしまいます。
もちろん相当数の販売が見込めればそれでも良いのですが、数万円になるであろうクロコ版ケーファーがどれだけ売れるかは未知数です。
結局ケーファークロコバージョンは一旦凍結し、先ずは先軸後軸の分かれた通常タイプのペンのみで開発することになりました。
ワニ皮を巻いたペン本体の太さの問題で、キリタで通常使っているクリップが使えないことになると、何か別のクリップを採用しなければなりません。
クリップを専門に扱う製造メーカーとしてキリタがお世話になっているのは、葛飾の東京金属工業さんです。
キリタでは、基本オリジナル品には専用のクリップを作ってもらっていますが、東金さんでは一般品のクリップも扱っています。
ただその中でも、多くのペンが外径(太さ)10mmくらいまでなので、外径11mmのペンに合うクリップはかなり少数です。
その中でも今回は、太い外径にも負けないボリューム感のあるPS-93と言うクリップを採用しました。
形としてはちょっとのっぺりしていますが、シンプルで名入れをするスペースもあります。
表面が凸凹していて柄がそれぞれ異なるクロコ革には、通常キリタで使っているレーザーではいまいちキレイに名入れを入れられないので、名入れの要望には、クリップ上に名入れをしています。
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名入れボールペンの【ペン工房キリタ】