【クロコ】開発秘話、その14
【クロコ】開発秘話、その14>
ところで、私の寡聞を告白しますが、実はワニ皮ってあのゴツゴツした背中の革をどうやって処理しているんだろうと思っていました。
今回の開発中に、ワニ皮はお腹の革を使うんだと言うことを初めて知り、ちょっと恥ずかしかったです。
日根野さんによると、お腹の革であれば柔らかいし、カラーも基本的にどんな色にも染められるとのことです。
今回選んだ3色は、バッグなどによく使われる人気のカラーで、調達もしやすいとのことで、日根野さんと相談して決めました。
一般的に仕上げについてはツヤ有りかツヤ消し(マット)仕様になります。
今回マットを採用したのは、ツヤ有り仕様の方が革が固くなり、ボールペンの細いパイプに巻くのが難しいためです。
日根野さんはjコラボ製品として自社でも販売したいと考えており、艶有りも欲しいとのことで、青木さんには艶有り革の試作も依頼したのですが、やはり固すぎてとても巻けないとのことでした。
ただ私自身は、今回のマットはとても品が良く、艶有りにするとテカテカして派手すぎるだろうとの思いがあったので、マットでよかったと思っています。
そんなこんなで構想20年、実際の開発期間2年という年月がかかった本革巻きボールペンも、ようやく完成して本生産にかかった頃、思いも掛けない突然の訃報が舞い込んできました。
皆さんは覚えているでしょうか、このクロコの開発秘話連載が始まって第6回目と7回目に登場した骨董屋の加藤さんです。
私の父の親友であり、桐生皮革工房の青木さん、鈴木さんを紹介してくれた、いわばこのペンの生みの親ともいえる人物です。
ある日突然青木さんからの電話が鳴って、「なんか突然だけど、加藤さんが亡くなったらしいよ。」とのこと。
加藤さんはまだ60代の半ば。あまりに突然で、しかも青木さんの言い方が曖昧なので、最初はよく分かりませんでした。
「さっき突然加藤さんの奥さんが訪ねてきて、どうもそういうことらしいんだけど、東京葬祭に確認してくれないか。」とのこと。
と言うのも、加藤さんの奥さんは、(来週に続く)
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名入れボールペンの【ペン工房キリタ】