【クロコ】開発秘話、その3
【クロコ】開発秘話、その3>
そんなこんなで革巻きボールペンの企画は、ずっと前から出ては消え、出ては消えを繰り返してきました。
この連載の最初で言ったように、コストと数量と品質のバランスが、上手く一致しなかったわけです。
アジアの安い工賃で大量に生産する大手なら、不良率を見越しても、革巻き工賃を安く抑えられるのかもしれませんが、桐平工業としては出来なかったのです。
そんな堂々巡りの状況から、今回なんとか革巻きペンを発売にこぎ着けられたのは、ある二つの偶然の出会いがあったからでした。
一つは、革張りの職人さんとの出会いです。
今回ペンの本体軸に革を巻いていただいた職人さんは、革製品メーカー経由で上から辿っていったのではなく、本当に末端の職人さんに偶然出会い、直接巻きを頼むことが出来ました。
そもそものきっかけは、私の父(2代目)が30代から50代の頃に、ボランティアで地元小岩の交通安全協会員として活動していた頃にさかのぼります。
小岩の安協では交通少年団なる物を組織していて、当時小学生だった私も無理矢理参加させられて、かなり嫌だった記憶があります。
安協そのものはともかくとして、今思い返しても少年団の方は、完全に警察の自己満足と自己アピール、予算回しの為の茶番だったような気も・・。
まぁそれは蛇足ですが、その安協の仲間で加藤さんという骨董屋さんがいまして、父と親しくしていました。
父世代の人たちが安協を引退した後も、加藤さんはちょくちょく遊びに来ていたのですが、ある日突然家に来て「かっちゃん、革巻きのボールペン作らないか?いい職人を知っているんだけど。」と言い出しました。
加藤さんは骨董屋さんなので、表具師さんや刀の研ぎ師など、色々なつてが有り、革張りの職人さんも最近親しくなったのだとか。
「まあ、上手に巻ける人で値段も高くないなら、興味はありますが。」と、最初はあまり信じていなかった私ですが、「じゃあ紹介するから会いに行こう。」とあっという間に連れ出されてしまいました。
(つづく)
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名入れボールペンの【ペン工房キリタ】