サインペンの歴史、その10

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呉竹が筆ペンの開発に乗り出したきっかけは、意外にも為替の急激な変動だったそうです。

1971年、ニクソンショックに続くスミソニアン協定でドルは急激に値を下げ、円高による輸出の減少に繋がりました。

当時の呉竹は、サインペンの対米輸出が販売の多くを占めていたため売上げは激減。生き残りをかけて国内向け商品の開発を始めました。

そこで、元々の本業である墨づくりと、サインペンの製造で培った筆記具の技術を組み合わせた製品として、インクを墨汁にペン先を筆にした筆ペンを開発することになりました。

ちょうど当時はボールペンやサインペンが広く普及し、毛筆の使用量が激減していました。

しかしその一方で、芳名帳や熨斗紙への署名などの場面で毛筆は求められており、サインペンの手軽さで筆文字を書ける筆記具への要望が高まっていました。

そのため多くの筆記具会社が同時期に筆ペンの開発を始めており、実際筆ペンの第一号は呉竹より1年早く発売したセーラー万年筆でした。

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