千代田塗装さんは、板橋区にある筆記具専門の塗装屋さんです。
会社の規模自体は、従業員20名程度の小さな会社ですが、筆記具の塗装屋さんとしては、日本一の実績があります。
顧客には、東日本の一流メーカーは全て顔を揃えていて、ある意味独占企業といえるかもしれません。
ただ最近の日本のメーカーは、プラスチック製の安い製品中心で、塗装を使う高い製品はあまり数をさばけない状態が続いています。
そのため千代田塗装さんも、バブルの頃の最盛期に比べると、多少は規模が縮小したようです。
創業は昭和34年。現在の会長である角井修氏が修行していた他の塗装会社から独立し、東京で手吹きの塗装業務を始めました。
板橋区の滝野川で創業したため、最初は滝野川塗装所と名乗っていましたが、昭和37年に有限会社として正式に登記する際に、会長の命名で千代田塗装工業所となりました。
創業当時は静電やラインでの塗装は行わず、手吹きで双眼鏡などの塗装をしていたそうです。
その後、静電塗装の設備を導入し、望遠鏡などのペンよりも大きなものの塗装をしていました。
文具の塗装を始めたのは、静電塗装の設備を納入した設備会社から、同じ設備を使っているプラチナ万年筆で仕事がさばききれないとのことで手伝ったことがきっかけでした。
その後、徐々に他の文具メーカーからの仕事も入るようになり、設備も筆記具向けの設備に特化していきました。
昭和58年には手狭な板橋工場の他に、埼玉の川越にベルトコンベアのラインを持つ川越工場を新設。ラインによる完全自動塗装も始めました。
川越工場の新設により、板橋では手吹きによる小物の塗装を。川越では主にペンの本体をラインで流す静電塗装という棲み分けが確立しました。
平成10年頃には、修氏から弟の康郎氏に社長がバトンタッチされています。
(「正確にはいつだっかかな〜」と言われてしまいました。(笑))
この現社長である康郎氏は、創業当時はまだ高校生でしたが、兄の会社を手伝ううちに仕事が忙しくなり、ついには高校を中退して塗装業界に入った叩き上げの職人です。
当時はまだ戦後17年しか経っておらず、復興期の日本の雰囲気が分かるエピソードですね。
千代田さんで塗装していただいているキリタ製品では、クリアの上からサンドペーパーで研磨をする「研ぎ出し」を必ずして貰っていますが、とろんとした艶が出てお客様からとても好評をいただいています。
これからも日本の筆記具業界のために質の高い塗装を提供し続けてくれることと思います。
ペンの塗装について
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